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三河支部日本人部会・学習会を開催

 本日(31日)、豊橋・大清水駅前さろんにて、三河支部日本人部会・学習会を開催しました。今回は三河支部の参加者がやや少なく、日本人部会というほどのことはできませんでしたが、少々涼しくなった中で頑張って行ないました。今回はまず、遠方から参加された賛助会員の方が、携わっている運送業の仕事が、戦中に戦争にまきこまれたことを示した映像を記録したDVDを持参したため、これを皆で観ました。観終わって、民間人でも戦争に駆り出され死んでいった人々の理不尽さや、現在の状況とのつながり、労働組合の大切さ、などについての感想が出されました。ちょうど今戦争を題材にした映画や小説も話題を集めている中でもあり、その話題にも話は広がりました。

 続いての学習会では、3日の公開学習会で講演をされた和田肇教授のレジュメに添付された文章を題材に、最近の規制緩和に関して検討しました。最近も、労働者派遣法の見直しや、厚労省の概算要求で「雇用調整助成金」を半減し、労働者を転職させる企業への「労働移動支援助成金」を2億から301億にするというような政策が打ち出されていますが、その政策を含む「アベノミクス」の実行によって私たちは解雇など、労働面でも、生活面でも、より厳しい状況に置かれかねないことなどが、話題になりました。

 最後に部会らしく、来月(9月)7日の交流会についてなども話題になりました。次回は28日(土)です。三河地区の方など、お気軽にご参加ください。


争議交渉報告会・ユニオン学習会を開催

 本日(24日)午後3時から、争議交渉報告会を10数名の参加で行ないました。土曜日にもかかわらず午前中団体交渉があるなど忙しい中での開催でしたが、現在取り組んでいる案件全体の簡潔な報告に加え、F社を相手にしての解決報告、S社を相手に裁判提訴に踏み切った報告、初参加の組合員の現状報告、少しずつ交渉で成果を実現してきている組合員の報告などを交え、1時間半ほどの時間が足りないほどでした。特に、中小企業での社長主導の強引な企業運営の下で苦しみつつ奮闘してきていることが伝わってきて、こういう交流の場が貴重だと改めて感じさせられました。

 休憩を挟み、午後6時からユニオン学習会を行ないました。争議交渉報告会から引き続いて参加した組合員と、初参加の組合員を含むこの学習会から参加した組合員とで、これまで継続して学習してきた、限定正社員制度の導入を中心に扱ったほか、最近報道された、一部企業でのホワイトカラーエグゼンプションの実験導入、派遣制度の見直しを掲げた厚労省研究会の最終報告案の公表についても学習しました。特に、限定正社員制度については、濱口桂一郎さんの『若者と労働』で打ち出された「ジョブ型正社員」についての提案や、労働法学者として著名な菅野和夫さんの見解(『朝日』8月2日)を基に議論しましたが、企業側の追求に沿い国主導の制度だから反対との意見、濱口さんの構想しているものと実際は違うのではとの疑問、有期雇用からの転換とか、女性のライフスタイルに対応するとかの、労働者の利益に沿う面もあるのではとの意見、など、活発な意見が飛び交いました。それぞれの労働と生活の中での、また組合員としての体験もあっての発言と思えましたが、同時に進む他の規制緩和の動きなども含め、労働者・労働組合にとって何を最も重要な点としてこれらの動きに着目し対応していくのかと、改めて考えさせられました。

 争議交渉報告会での闘いの報告・交流と、その闘いの前進のためにも必要な学習・交流とを、同じ日に一気に行ない、やや消化不良気味ではありながら、濃い内容での有意義な時間を過ごしたと感じましたが、参加した皆さんはどうだったでしょうか。まだ未参加の方も、何となくカタそうだと尻込みするのでなく、一度参加してみてはいかがでしょう。

<追記(31日)>次回の名古屋でのユニオン学習会は、三河で来月(9月)28日に開催する予定なので、21日に行なう可能性があります。争議交渉報告会ともども、追ってお伝えします。

<追記(9月14日)>次回の名古屋でのユニオン学習会は9月21日、三河では28日に行ないます。争議交渉報告会は10月12日に組合員全体会があることもあり、9月は行ないません。

 


アンデン・トゥエンティファースト裁判、第3回人証尋問

 一昨日(19日)午後、名古屋地裁岡崎支部にて、アンデン・トゥエンティファースト裁判の第3回人証尋問が行われました。今回はこれまでの原告側証人に代わり、「請負会社」トゥエンティファーストのA取締役とT担当者が被告側証人として尋問を受けました。証人は指揮命令を独自にやってきたと、偽装請負の疑いを否定しようとしましたが、原告側弁護団の反対尋問で、カンバンを活用したりアンデン社員と混在して働いたりした際にアンデンからの指揮命令がなされていたのではないか、と問われると、わからないとも証言し、偽装請負の実態を否定しきるには至らない印象でした。また、傍聴支援でも、被告側からも多く参加していましたが、それ以上に原告側は、原告を含むブラジル人組合員と日本人組合員が同人数ずつ、合わせて10数名参加し、原告を支える姿勢を示すことができました。
 
 
 
 次回は9月2日(月)、13時30分から第4回人証尋問が行われ、アンデンからM工場長が被告側証人として尋問を受けます。また、15時からは、このアンデンへの直接雇用を求める裁判とともに行なってきた、男女賃金差別を問う裁判が開かれます。昨日(20日)厚労省の研究会が1人当たりの派遣期間の上限を26業務も含め3年とし、派遣先の企業が労使で合意すれば人を変えて派遣労働を活用できるようにする、という、派遣先企業がこれまで以上につごう良く派遣・(請負)労働者を使い捨てていくように思える最終報告案を出しましたが、こういう「規制緩和」の動きに対しての派遣・請負労働者の闘いの一翼をも担っているのがこの裁判であり、そしてこの裁判も、大詰めに来ています。皆さんのご支援を、引き続きよろしくお願いします。

24日に争議交渉報告会・ユニオン学習会を開催

 12日の運営委員会で確認しましたが、来たる24日(土)、7月に開催できなかった争議交渉報告会とユニオン学習会をユニオン事務所にて行ないます(報告会は午後3時から、学習会は午後6時から)。奮ってご参加ください。

 ブラック企業が社会問題化していることに象徴されるように、当ユニオンにも中小企業・派遣・外国人労働者を中心にした相談が多く寄せられ、交渉や裁判などに取り組んでいる案件も増加していますが、その解決が困難な案件も少なくありません。このような案件を解決していくためには、当事者の組合員や支援する組合員の情報交換や交流を図っていく必要があります。今回の争議交渉報告会も、そういう趣旨で行ないたいと思います。

 また、こうした困難な状況を、ますます深刻化させかねないような労働分野の規制緩和の動きは、今年から来年にかけて加速しようとしています。最近も解雇規制・派遣制度・労働時間規制の緩和(愛知の企業で中軸に位置するトヨタ・三菱など)などを政府が進めようとしていることが報道されています。しかし同時に、限定正社員制度の導入に示されるように、とりわけ非正規・若年・女性労働者にとって「雇用の多様化」という意味で有利な面もあるという言説なども他方であります。たとえば、最近発刊された濱口桂一郎さん(労働政策の研究・提言で有名)の『若者と労働』でも、若者の非正規化・ブラック企業の正社員化、に対応したものとして「ジョブ型正社員」の導入が謳われています。このように、単に政府や企業側の利益に沿っているというわけでなく、むしろ労働者にとっても有利な面もあるのではないか、という疑問も、あると思います。以上のような動き・意見も、引き続き、今回の学習会でも検討していきたいと思います。

 いずれも1時間半から2時間の枠内で行なうようにしたいと思います。途中での休憩時間を挟んで、両方に参加する組合員もいます、交流などを深める機会でもありますので、暑い中ですが、24日の午後はユニオン事務所へ足を運びましょう。

 


『ふれあい通信』作成、第4回運営委員会開催

  一昨日(10日)午後、『ふれあい通信』の作成作業を行ないました。猛暑の、盆休みに入ったところもある中で、作業に参加した組合員の方々、お疲れ様でした。今回の号は投稿も多く、組合員でつくる機関誌らしくなっています。発送は本日(12日)になりましたが、届きましたらご愛読の程を。

 そして本日夜、第4回運営委員会を開催しました。このかん、取り組む案件が多い中で、地域や分会単位でのまとまりもつくりながら、また公開学習会など社会的にも視野を広げながら、活動してきましたが、その活動について確認しました。そして、来たる10月に組合員全体会を開催することなど、組合の活動の節目になり、交流も深まるような催しを行なうことも確認しました。10月には他に全国ネットの全国交流集会が山形で開かれますが、それへの参加も確認しました。

 厳しい時代の中で、厳しい天候も続きそうですが、今後ともがんばっていきましょう。


労働規制緩和問題についての公開学習会、成功する

 本日(3日)午後、名古屋市女性会館にて、公開学習会「新たな労働分野の規制緩和を問う~『ブラック企業』の横行を許さないために~」を、和田肇名古屋大学大学院法学研究科教授を講師にお招きして開催し、組合員・賛助会員、ユニオン関係者ら、30名ほどの参加者により成功しました。以下、和田教授の講演の内容を筆者なりにまとめることを中心に報告します。

 午後1時30分、司会あいさつの後、和田教授が講演されました。和田教授は主に、アベノミクスの雇用改革について、解雇規制の緩和・労働時間規制の緩和・限定正社員に焦点を当てて話されました。

 冒頭に和田教授は、80年代から進められてきた規制緩和による雇用崩壊が、民主党政権下でいったん改革の方向に向いたにもかかわらず、安倍政権はまたさらに崩壊を進めるのではないかと危惧を話されました。たとえば労働者派遣法の改正問題については、2000年代から派遣問題での裁判が起き始め、松下PDP裁判などもあり、最近ではマツダでの勝訴もあったのだが、マツダの判決の前提に派遣法改正の流れ(「みなし規定」の施行を控えた)があるのに、安倍政権はこの施行をやめようとしている。派遣労働者は労働者の2%に満たない少数だから大した問題ではないという言い方をする人もいるが、派遣労働自体の問題もあるばかりか、安倍政権は労働規制をできるだけなくし柔軟度を高めようとしている、として、まず解雇規制の緩和について触れました。

 解雇規制の緩和については、たとえば、国際比較をして日本が解雇規制が厳しすぎると言われているが、他国と比べる際にその国のシステム全体を把握したうえでの議論をしているとは言いがたい、と批判しました。また、正社員と非正社員、男性と女性の差別はいけないと言いながら、正社員の雇用が守られ過ぎだ、と規制緩和の方向に向かおうとするのは、雇用全体の不安定化を招くと批判しました。また、解雇権濫用法理が厳しすぎるという話もされるが、実際の裁判例では、必ずしも解雇がまったくできないということではないし、たとえば解雇回避努力が足りないと見なさざるを得ないから解雇無効とされたりしている。また、金銭解決制度についても、解決の方法として金銭解決の場合もあるが、これを制度化すると企業は金を払ってでも解雇しようと悪用することも想定されるから、労働契約法制定時に、大議論の末、盛り込まなかった、という経緯もあるとも紹介されました。

 続いて、労働時間規制の緩和について話されました。使用者側の言う「管理監督者」に当たらないと労働者側が主張して敗訴した例は自分が知る限り一つもない、マクドナルドの店長の裁判も厳格な基準を適用して判決を下している。そこで使用者側は裁量労働制を切り口にホワイトカラーエグゼンプションを導入しようとしている。しかしアメリカではホワイトカラーはブルーカラ―とまったく違う労働条件だったり、過労死もなかったりするのに、日本では80年代以降急激に増加した過労死にも、その背景にある長時間労働にも、安倍政権は全く触れないでいる。過去、このようなアメリカの事情などを議論したりしてホワイトカラーエグゼンプションの導入をさせなかった経緯もある、とのことでした。

 続いて限定正社員について話されました。まず正社員については、よほどの事情がないと配転を拒否できないという判例が出されてしまっており、反面、家族的責任があってそこまでできない人が非正社員になっている、という現状が示されました。そこで、最初はワークライフバランスとか正社員化のステップとかの理由で限定正社員と言われ始めていたのが、経営側から、限定正社員型の雇用ルール(解雇についてとか、賃金についてとか)という話が出てきたため、正社員を二階層に分けるものだとか、女性は限定正社員を選ばざるを得ないとか、正社員化はそう簡単に実現できないだろうとか、の批判を、されるようになっている。しかも、正社員のワークライフバランスとかディーセントワークとかパートタイマーの均等待遇とかずっと議論してきたことがあり、普通の家族を大切にする人がモデルにならないとおかしい。しかし実際には二流の正社員制度をつくるという話になってしまっている。これは95年の「新時代の日本的経営」と同じ発想だ。この「日本的経営」は、法改正はせずに経営側が新たな雇用政策のバイブル扱いにしてきた文書であり、この政策によって非正規労働者が激増している。7~80年代では非正規労働者といえば主婦・高齢者・学生アルバイトであり、家計補助者だった。その想定で社会保障システムもつくられてきた。しかし今は家計の中心を担う人が非正規で低収入で社会的貧困に陥っている。この非正規労働者の待遇改善という話は出てこない。5・6年前には日本でもアメリカでも、このままでは雇用社会の持続性は高まらないし、中間層を厚くしないといけないとも言われていた。これも安倍政権は元に戻そうとしている。いや、改憲を言い出しているように、どんどん雇用の二極化など、悪くしようとしているのではないか、と話されました。

 時間があまりない中、最後にブラック企業について話されました。残業を過労死レベルまでしないと基本給から差し引くという賃金体系を取っていた庄やとか、年1800時間残業できるという労使協定を結んでいるIT企業の例など、ひどい企業が増えてきている。トヨタも例外ではない、と言われました。そして最後に、いろいろな課題での運動とも連携して日本企業を変えていく運動を、若い人を含め、進めていこうと呼びかけて、一時間半ほどの講演を終えました。

 休憩に入り、そこで質問用紙に多くの人が質問を寄せました。再開後、和田教授に答えていただきました。まず改憲による労組への影響について、との質問に対しては、直接案文では触れてはいないし、それほど組合が怖がられていないという現状もある。しかし、公の秩序を真っ先に謳っていたり、全体に、ひどい案で、数で押し切ったり、閉塞感の中で鈍感になっていたりすると怖い、とも言われました。次に、国家戦略特区に愛知などを指定して労働法の適用除外を設けるとの姿勢を示していることについては、労働法はすべての人に適用することとした法規なので難しいとは思うが、権力を持って強引にやるという面がどれだけあるか、ということも言われました。また企業の内部留保の問題については、国が内部留保を出せとは言いづらいので、労働組合が運動するしかない。和田教授自身も組合活動をされている経験から、民間準拠の賃金からしても、ずっと賃金が下がってきているのはわかる、先進国でずっと下がっているのは日本だけ、と言われました。また派遣労働者の問題については、派遣労働者がもっとも矛盾を集中しやすい、人間の尊厳にも関わる問題、と言われました。また、パートについても、処遇改善など規制を強化すべき点には怠慢になっている、と言われました。さらに、労働法における罰則については、安全、健康に関わることでは必要だが、罰則に頼るというより、自分たちの権利を自分たちで守らないとだめで、労働法と労働組合は車の両輪で、両方が機能しないとだめで、労働組合の大切さを言い続けないといけない、と言われました。また、公務員の政治活動の禁止について、露骨なやり方はしないと思うが、ご自身も、04年の4月から国家公務員ではなくなったのに仕事は全く変わらないことからして、公務員だから禁止するという根拠がわからないし、表現の自由の制限も露骨にはしないが秘密保全法や日常生活の監視などは危険、と言われました。また、ブラック企業の経営者のモラルを問う意見も述べられました。また、大企業のユニオンショップ制組合の現状への批判を述べた参加者に対しても、組合が個々の組合員の問題を取り組まないとか、超長時間残業を容認しているとか、社会的責任を果たしていないとか、も言われました。このように、多くの質問に、丁寧に答えていただきました。

 これで学習会はいったん終了しましたが、半数以上の方が残って、引き続き、懇親会を行ないました。各自自己紹介をしていったのですが、和田教授も組合活動もしている立場からも、積極的に意見を言ったりして、一時間以上、活発な懇親会となりました。また、最近組合に加入した参加者も何名もおり、組合員同士の交流も深まりました。

 こうして公開学習会は成功させることができました。その中でも強調されていたように、安倍政権の下で雇用破壊が進む中、労働組合の頑張りが今必要になっていることを改めて感じさせられました。参加し、成功のために頑張った皆さん、お疲れ様でした。