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格差是正をめぐって(都市と地方、正規と非正規)

 7月20日(木)、厚生労働省の「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第3回)」が開かれました。今年の最低賃金は、都道府県のランク分けが、AからDの4ランクからAからCの3ランクに初めて変更されるのですが、委員会後、労働者側委員が、このCランクの額の引き上げにより全都道府県で900円以上にするよう求めたと会見で発言したそうです。次回の小委員会は、26日(水)に開かれますが、早ければそこで議論決着の可能性があると『朝日』(21日朝刊)は報じています。(追記:その後、26日・28日の小委員会を経て、28日の

本審議会で「目安」が出され、今後各都道府県での審議に委ねられることとなりましたが、この「目安」では、Aランクの引き上げが41円、Bランクが40円、Cランクが39円の引き上げ額ですが、これで加重平均額は昨年の31円を超えて41円引き上げの、1002円(引き上げ率4.3%)になる、これは目安制度が始まった78年以来の過去最高額だ、と言うのですが、全都道府県で900円以上にするという要求は実現できませんでした。資本主義に格差は不可避な面もあるでしょうが、それを正すのが行政の役割という建て前や、労働運動の役割という私たちの問題もあるわけで、何とかしていかないといけないですが)


 愛知県では、7月4日(火)に愛知地方最低賃金審議会が開催され、当ユニオンからも傍聴参加しました。現在Aランクの愛知県の最低賃金は986円で、ちなみにAランク最高の東京都は1072円、全国加重平均は961円というわけですが、上記の小委員会の議論からすると、こういう都市の額の低さに加え、さらに地方の額の低さは深刻だという気がします。ランク数の削減はその打開のための一策ではあるのでしょうが、こういう地方からの底上げの取り組み、都市での引き上げの先陣を切る取り組み、この相乗効果で、何とか全国での最低賃金の底上げを実現できればと思うのですが、「それは現実的ではない」とかと、「地方に犠牲がいくのはやむを得ない面もあるが、せめて都市と地方の格差是正を」的な方向に流れがちなのは、Aランクの愛知県のユニオンとしては、複雑な思いもあったりもします。


 最低賃金をめぐる議論の他方で、同じ20日、最高裁は、正社員との基本給についての格差に関して、「不合理な格差」を禁じた労働契約法旧20条に照らしての初めての判断を示しました。当ユニオンの顧問弁護士事務所でもある名古屋共同法律事務所の中谷雄二弁護士が、原告(「名古屋自動車学校」の元社員2名)のうちの1名とともに全国ニュースで登場されており、「前日の7.19集会で夜遅かったのに、翌日は東京か」と、その多忙さに圧倒されるのですが、それはさておき、この最高裁判決は、定年後の再雇用で嘱託社員として基本給を(仕事内容が同じなのに)約16~17万から約7~8万(!)に下げられた件(16年提訴)について、「6割を下回るのは不合理」とした名古屋高裁判決を破棄し差し戻したのですが、その場合、「不合理な格差」に「基本給も該当しうる」との判断を示し、その「基本給」の性質(勤続給か、職務給か、職能給か、など)の検討が必要だが、同社の基本給の性質は正社員と嘱託社員とでは違う、しかし、高裁判決ではその検討が不十分、としたのです。それで判決後、原告側は、この基本給をめぐる議論を詰めていく決意を示したそうです。確かに、「定年後再雇用」→「正社員から嘱託社員への変更」→「仕事は同じ」だったとしても「基本給引き下げ、格差発生」という「理屈」があたかも当然で、合理的であるかのようにされていることに対して、どう闘うか、という点で、当ユニオンでの「同一労働同一賃金」をめぐる裁判(中谷弁護士にもお願いしていますが)でも同様のことが問われており、こうした格差も是正していくこともめざしていかねばなりません。


 

 

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