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コミュニティユニオン東海ネットワーク合宿、成功する

 昨日(10日)と本日の二日間にわたり、岐阜市内で、コミュニティユニオン東海ネットワーク学習・交流合宿を開催しました。12団体・50名規模の参加で、成功しました。当ユニオンからも、一部参加を含めると15名ほどの、多くの参加を実現しました。

 一日目の昨日、会場に着くと、すでに入口では受付が始まり、この合宿の資料・ユニオンみえの新たに結成した「シャープピノイユニティ」について報じる新聞記事のコピー・そして当ユニオンが前日皆の協力で作成したばかりの『ふれあい通信』最新号などが配布されていました。午後1時半、広岡代表(ユニオンみえ書記長)が開会あいさつを述べた後、まず「争議行為に対する企業の妨害をどうはねのけるか」をテーマにとりあげました。静岡ふれあいユニオンが、街宣活動行動に対して使用者側が仮処分を申し立てるなどの妨害をしてきている事例を紹介したのを受けて、東海労働弁護団の高木輝雄団長が講演されました。高木団長は、団体行動権は憲法・労働組合法によって保護されているという前提をおさえたうえで、しかし実際には司法機関が一般の市民法のような感覚に基づいて不当な処理をしている場合もある。それは労働組合が闘いの弱さのゆえにそれを許している面もあり、裁判官を教育するような闘いが必要だ。かつても労働組合の激しい闘いと使用者の妨害(差し止め仮処分)が多発した時期があったが、その険しい闘いの中から権利を護り発展させてきた心意気が肝心だ、と、44年もの労働弁護士としての長い経験を基に激励してくださいました。質疑応答でも似た事例が紹介されたりして、ユニオンの闘いの重要性を改めて感じました。

 続いて、「コミュニティユニオン組合員のアンケートから見えてくるもの」というテーマで、中部学院大学の文貞實さんと金城学院大学の朝倉美江さんとが研究者の立場で報告されました。お二人は、昨年末にユニオンみえ・武庫川ユニオン(兵庫)・名古屋ふれあいユニオンの組合員を対象に行ったアンケートの結果の紹介とコメントをされました。ユニオンが、中小・零細企業の労働者や外国人労働者にとって、権利を実現するとともに、コミュニティ的機能(地域性・共同性)をもった存在としても、意義のある役割を果たすなど、さまざまな可能性を孕んでいるというように好意的に評価していただいたのが印象的でした。

 続いて、「2012年実施の改定入管法と外国人住民」というテーマで、移住労働者と連帯する全国ネットワークの佐藤信行さん(在日韓国人問題研究所所長)が報告されました。佐藤さんはまず、東日本大震災で外国人住民にも大きな影響が出ていて、「展望がない」という深刻な現状になっていることを報告されました。そして、来年7月から実施される改定入管法についてその問題点を紹介されました。在日外国人を「特別永住者」「中長期在留者」「非正規滞在者」に区分し、個人情報を法務省に集中し、外国人登録制度を廃止する代わりに「外国人住民票」に係る事務を法務省と各自治体に担わせ、入管法・住民基本台帳法違反の罰則も強化し、各外国人に新たな「在留カード」の携帯を義務づけるなどの改正内容を紹介されたうえで、この改正によって、いかに外国人への管理・差別が強まることになり、外国人を傷つけることになるかを、かつての指紋押捺の強制問題とも関連させて、明らかにされ、この外国人に対する管理強化が、社会全体の監視社会化へとつながっていく危険性も強調されました。また、質疑の中で、この改正の実施自体を阻むことは困難だが、住民基本台帳に入れるならそれにふさわしく日本人同様のサービスを要求するなどの運動もできるのではないか、という指摘には、したたかさも感じ、外国人問題にもさらに取り組んでいく必要を考えさせられました。

 一日目の学習は以上で終わり、場所を移動して、夕食をいただきつつ交流会を行ないました。各ユニオンの紹介が主でしたが、名古屋ふれあいユニオンからは森委員長が原発問題に取り組んできた経緯と必要性を訴えたのが印象的でした。各ユニオンの取り組みは、なかなか知らないところもあるので、交流を深めるという意味でも有意義でした。そして宿泊となりましたが、一部ではその後、二次会を行ない、興味深い昔話も出たとの話も・・・・

 さて、二日目はまた前日の会場に戻り、まず、「労基署や職安・労働局などで腹の立ったことを語ろう!」というテーマで、名古屋ふれあいユニオン・浅野事務局長の司会、全労働省労働組合愛知支部の労働基準監督官でもある方のコメントを交えて、フリートーク式の議論になりました。内容としては、常々労働基準監督署との対応で苦労し、「経営者寄りだ」と感じさせられているユニオンと、労働行政に携わる方との、それぞれの立場での率直な意見が出されたのが主でしたが、全労働省労働組合での闘いを支えていくようなユニオンの取り組みによって労働行政をも変えていくような、労働組合同士の連帯した取り組みが鍵ではないか、と考えさせられる内容でもありました。

 最後に、「うちのユニオンはこんなことが得意分野です」というテーマで、愛知連帯ユニオンが、運輸労働者を組織しながら、全日建連帯生コン支部にも加盟して、地域規模・産別規模の運動を進めてきた経緯を報告したり、岐阜一般・女性ユニオン・ユニオンみえ・ATUが、それぞれこの間の闘いでの特徴的な諸点を紹介したりしました。

 各テーマでの報告は以上となり、最後に行動提起を行ないました。名古屋ふれあいユニオンなどが9・19原発集会への参加を呼びかけたりし、最後にまとめとして、広岡代表が、東海ネットワークとして、交流を深めるのみならず、集団交渉・申し入れ行動なども、取り組んでいくことを呼びかけて、正午、終了しました。

 今回は日頃の活動で直面する問題に関係した多くの盛りだくさんなテーマでの学習・交流が中心となりましたが、無事成功させることができて良かったです。現地で尽力していただいた岐阜一般労働組合の皆さん、事務局を担った名古屋ふれあいユニオンの皆さん、そして合宿の成功のために奮闘された皆さん、お疲れ様でした。

  ちなみに、岐阜から帰ってきて、最近の『読売』一面下に広告を掲載していた『月刊ビジネスガイド』10月号を本屋で見てみた。「特集 合同労組・ユニオン対応 ~要求の傾向と行動・戦略パターンを知る~」と銘打ち、弁護士と特定社労士が寄稿している。まあ、立派なつくりの、雑誌にも学びながら「戦略パターン」を使用者側も練っているんでしょうが、ね。  


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コメント 2

豆

こんにちは。合宿お疲れ様でした。
こまかいことですが、

佐藤伸之さん→佐藤信行さんではないでしょうか。

最近は、「合同労組・ユニオン対策マニュアル」「合同労組と上部団体―法適格性についての一考察」など、会社側弁護士からする組合対策本も出ていますね。
浅学な私は、会社側のこういう本も、読むと勉強になります。すぐ忘れてしまいますが。

では、また。
by 豆 (2011-09-12 09:18) 

醤

 豆さん、お疲れ様でした。いつも貴重なご指摘、ありがとうございます。おっちょこちょいの当方は助かります。佐藤さん、失礼致しました。

 会社側の主張の勉強も必要でしょうね。学習会とかでも、生かせたらいいと思います。もちろん実際の団交とか裁判とかで生かすのが大事でしょうけれど。
 
  でも、果てしない「言葉」のやりとりというのも、どうなのかなあ、と思うところもあります。原発でもハンストをやる若者が出ました。言葉より身体を張った抗議ということでしょうか。当方は身体を張った抗議というと座り込みなんてのを思い出す世代ではありますけれど、何か浮遊する言葉に対する空しさを感じての行動のように思えてしまいます。楽しいデモを謳ったり、10日間のハンストを試みたり・・・・若者の模索はいろいろですが、何か、大切な「言葉」を取り戻さないと、いけない気がします。
by (2011-09-12 17:53) 

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