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NHKドラマ「ガラパゴス」を観て

 11月25日(土)、2日間の熊本での全国交流集会が始まった。当ユニオンからも参加しているが、筆者は今回は参加しなかった。参加した仲間は夜はどこかのユニオンと交流会でもやっていたのかもしれないが、筆者はテレビを観ていた。ちょうどNHKで午後10時からドラマ「ガラパゴス」の最終回だった。この「ガラパゴス」は、原作は派遣労働をテーマにしたミステリー小説だというので、筆者も以前某古本店で入手してはいたのだが、ツンドクのまま、本の山に埋もれている。が、今回ドラマ化されると知って、これはいいと、11月の毎土曜日、4回にわたって観た。重いドラマだった。


 ストーリーは、ある刑事が、ある派遣労働者の死について、その真相を、その派遣労働者の足取りをたどりながら、明らかにしていくというものだが、そこでは、かなり派遣労働の現実と近い地名(岐阜の美濃加茂や、三重の亀山や、当人が沖縄出身とか)や、秋葉原事件を連想させるような事件も出てきたりして、現実味があった。そして、この派遣労働者の死の背景には、派遣労働者を搾取する派遣元・派遣先などの構造的な問題があったという点でも、これはスポンサー頼みの民放では作れないドラマだという気もした。NHKドラマだと、CMがないので、ドラマの合間のCMで一息つくことができないのは大変なのだが、さらに、民放ドラマでとりわけ顕著だろうけれど、どこかにパロディー化を交えるのが当たり前になっているのに慣れていると、こういうパロディー化が全くないドラマは、なおさら民放ではつくれないだろうと思った。


 原作は2016年に発刊された。描かれている派遣労働者の姿は、「派遣切り」が吹き荒れたり、ユニオンみえがシャープ闘争を取り組んだりした時の派遣労働者の姿であるし、妊娠したからだと言わざるを得ない派遣切りを当ユニオンが取り組んでいるような、現在の派遣労働者の姿でもある。また、今外国人技能実習制度の廃止が決まりつつあるが、「育成就労」という新たなかたちで外国人労働者を使い捨てていくようなことになるのでは、という危惧もある。技能実習生制度は現代の奴隷制度だと言われているが、派遣労働も見えない鎖につながれている。いやそもそも労働者は・・・ということまで考えると、重さが加わってしまう面もあるが、それでも今回の全国交流集会で、その重さを打開するための何かを、仲間は持ち帰ってくれるだろう。そしてこの「ガラパゴス」は、重いドラマだが、小説ともども、皆さんも何らか、接していただけると、良いと思う。

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