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韓国ワイパー労組の日本遠征闘争を支援(7)

 6月20日(火)、韓国ワイパー労組は、デンソー本社前などで、要請・宣伝行動を行いました。第100回定時株主総会がデンソー本社で開催され、韓国でも5者協議が引き続き開催されたこの日は、第3次遠征団の行動の節目にも当たりました。東海ネットやそれに参加する労働組合や、その他の日本人の支援者らが、前日の19集会での行動の呼びかけに応えて、この闘いを支えようと参加し、総勢40名近い参加となりました。当ユニオンからも、10名近い人数で参加しました。


 午前7時50分、刈谷駅に集まった行動の参加者は、「悔いのない闘いをしよう」とのワイパー労組の仲間の提起に鼓舞され、デンソー本社前と、刈谷駅周辺とに二手に分かれました。刈谷駅前からは株主総会に向かう株主向けの送迎バスが午前9時から出ることもあり、刈谷駅周辺でのチラシ配布を行う参加者も残しながらも、多くの参加者はデンソー本社前に移動しました。韓国での昨日の5者協議は、合意に至らず、本日に持ち越しとなり、午前8時から再開される中、横断幕を掲げて、午前8時15分、出勤するデンソー社員らに対し、昨晩日本に着いたチェ・ユンミ韓国ワイパー分会長がマイクで呼びかけました。2021年の、親会社デンソーも締結の時同席した雇用協約書を、10か月も経たないうちに無視して会社清算を一方的に決定し、その後も無視の姿勢を改めないのは、「約束を守らない」ことで、民主党の委員会も労組の主張を認める決議を上げるなど、デンソーに抗議する声は広がっている、と訴えました。この日は正門と少し離れたところに株主総会会場があり、警備員も何か所かの入口を固めています。「社員証を」と、相変わらず社員しか入れないという姿勢を露わにする呼びかけをも受けて、固い表情で次々と入門するデンソー社員は、連日の要請行動をも目にしながら、労働者・労働組合員でも、株主でもある立場で、何を考えていたのでしょうか。


 周辺ではユニオンみえの宣伝カーが街宣をしながら走ってもいる中で、9時から大半の参加者が正門前に集まり、6枚の横断幕を掲げながら、要請・宣伝行動を続けました(刈谷駅前で引き続きチラシを配布した人に後で聞いたら、送迎バスに乗り込む株主は、その半分程度がチラシを受け取ったそうです)。音楽も流したりしながらも、昨年、交渉に応じさせようとハンストを44日間も分会長が続けたことや、警察の弾圧によって多くの負傷者を出し、警察署長が国会で呼ばれるまでになったり、今も24時間工場で泊まり込んでいたり、このデンソー本社や、ワイパー工場だけでなく、国会前などでも座り込むなど、体を張っての行動を進めてきて、それに促され、デンソーの取引先であり、韓国ワイパーの作ったワイパーを納品する現代自動車からデンソーに早期解決を求める文書が出されたりもして、韓国では大きな社会問題になってきていることなどが、マイクでの発言などで明らかにされました。


 9時半になり、正門前で、参加者が座り込んで、「韓国式の」集会を、前日同様、開始しました。コールや笛?で音を出したうえで、弾圧で亡くなった人や獄中の人を思う黙とうをする「民衆儀礼」を行い、行進曲調で闘いの歌を唱和したりしたうえで、韓国ワイパー分会が所属する全国金属労働組合の方も、金属労働者十数万人を代表しするかたちで発言したのですが、その後、分会長が、剃髪式を行いました。女性で、母親でもある分会長が、親から受け継いだ大切なものでもある髪を丸刈りするのは、非常に苦しいことでもありながらも、抗議の意志表示として行うと述べたうえで、「DENSOは約束を守れ!」と書かれた布で身をくるみながら、組合員に髪を剃ってもらいました。このことは今日配布した新たなチラシでも訴えられていましたが、ちなみにデンソーは、記念すべき100回目の株主総会の日にふさわしくないと思ってか、唯一、ある部署の人が、剃髪すると名古屋の宣伝行動で言っていたと「クレーム」があったのだが(わざわざ誰から?)、やめてほしいと、すでに前日、話しかけてきていましたが、こうしたデンソーのひどさも、かえって浮き彫りにされました。


 泣いている組合員もいる中でしたが、丸刈りになった分会長の意志を代弁するように、事務部長が「きょうはデンソーの法事の日だ」と述べた後、分会長が発言を始めました。もう、株主総会開始の10時の直前です。こういう剃髪は、韓国では全身全霊を賭けて不正義に立ち向かう決意の表れだ、食い逃げ企業と韓国で悪評をたてているデンソーのことを、日本、世界に知らせ、正々堂々とテーブルにつかせる、と、固い意志を示しました。そして日本人を代表して当ユニオンの鶴丸委員長が、株主に対してこの分会長の意志を真摯に受け止めるよう訴えました。

その後韓国ワイパーの他の組合員が、分会長を励ますように、冗談も少々交えながら語り、また韓国ワイパー分会の所属する全国金属労働組合の方も、労働者には何もないことを、分会長はおのれの髪を剃ることで示した、デンソーは失ったものを取り戻す労働者の底力をわかっていない、19集会でも示したように、日本全国にこのデンソーの汚さを示していく、と気迫を示した後、今度は歌に合わせてダンスをするユルトン(律動)に移って、最後に笛?を鳴らし、ストライキ歌を歌って、10時45分、集会を終えました。


 そして株主総会会場近くなどにも分かれて、横断幕を掲げ、総会を終えて帰途に着く株主にアピールしました。11時過ぎに、株主を送迎するバスなどが出てきたりする中、分会長は剃髪した決意を改めて訴えかけ続け、株主が帰り終えた頃、参加者全員で記念写真を撮って、12時前、行動を終えました。(追記:なお、報道によれば、参加した株主は約900人、1時間24分の総会だったそうで、かなりの数の株主の方にアピールできたようでした)


 その後、刈谷駅近くのアイリス(刈谷市総合文化センター)に移り、12時20分頃から総括会議を開始しました。韓国側、日本側、それぞれ参加者が、今日までの行動をまとめて振り返ったり、感想を述べたり、今後の取り組みについて提案したり、しました。韓国の5者協議はすでに終わり、26日に再交渉が予定されているとのことで、雇用労働部が前面に出て解決を図ってくるまでになってきているのですが、デンソー側はなお姿勢を改めないので、今後も取り組みを粘り強く進めていくことを確認し、また、韓国側・日本側、それぞれ学ばされたり感謝したり、というような率直な感想も述べ合い、午後3時頃に終了しました。


 株主総会のこの日は、一つの節目に当たりましたが、解決には至っておらず、闘いは続きます。今後も、がんばっていくことを確認し、この日の行動を終えました。皆さん、お疲れ様でした。 


<追記(27日)>なお、その後ですが、その後5者協議は26日が27日に延期されたとのことですが、結果は筆者は現時点では不明です。派遣団は、翌21日に分会長以外は帰国し、分会長はデンソー東京支社を訪れるなどした後、23日に帰国したそうです。お疲れ様でした。解決をめざし、がんばりましょう。



 


 


 



 

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韓国ワイパー労組の日本遠征闘争を支援(6)・6・19集会

 6月19日(月)、再び東海ネットは韓国ワイパー労組の闘争を支援して取り組みました。総勢25名規模で、半数が、前半に比べ倍増した派遣団と日本人通訳、残りが東海ネットの各団体(当ユニオンは最大5名を超える参加)から、と、他の団体の、日本人支援者で、暑い中を、一日がかりの取り組みを行いました。

 午前7時35分頃から、刈谷駅前での宣伝行動を開始しました。筆者は、組合員が揃って赤いハチマキ(?)を巻いた青の帽子・オレンジのチョッキをしているのと同じスタイルをさせてもらったのですが、ハチマキには「ゼネスト」「全国金属労働組合」と書かれ、チョッキには、「デンソーは欺瞞的な清算撤回せよ」と書かれているそうでした。そうしたお揃いの姿で、駅前の各所に分かれ、横断幕を掲げたり、カラーのチラシを声をかけながら配ったりしました。通勤途中と思われる人の流れの中で、チラシを受け取ったりする人も、比較的多い印象でした。

 そして8時45分頃から、デンソー本社前に移動しました。掲げた横断幕は、「日本のデンソー資本は韓国ワイパー労働者との約束を守らなければなりません。デンソー本社が直接出て韓国ワイパー事態を解決しなければなりません」(オレンジ)「私たちもデンソー100周年の株主総会を祝いたいです。そのためには韓国ワイパー事態を解決しなければなりません」(薄いブルー)「私たちは破局を望んでいません。デンソー100周年株主総会を混乱の場にしたくない」(濃いブルー)「もう一度約束破棄・責任回避!デンソー資本の無責任により交渉が決裂したのだ」(濃いブルー)「デンソーが責任を負え」(3月の設備搬入時と思われる、警察の弾圧を受けた際の様子を撮影した画像をバックに文字が書かれたデザイン)というように数が増え、内容も変わっています。この横断幕を背に、出勤するデンソー社員にチラシを配布しつつ、韓国ワイパー労組員がかわるがわるマイクで訴えました。

 フレックスタイム制のせいか、9時過ぎでも出勤してくる社員がいる中で、警備員を前に宣伝を続けながらも、一時間ほど経っていったん休憩をしました。そして午前10時、韓国での5者協議の開始に合わせて、韓国ワイパーの仲間たちは「韓国式の集会」を始めました。現地の交渉団とオンラインでつなげながら、長い笛のようなもので音出しをしたり、ユルトン(律動という、歌にあわせて集団でそろってダンスする)をしたりなどの明るいパフォーマンスや、重々しい歌や黙とう、シュプレヒコールを適宜交えながら、マイクでの発言を続け、訴えかけました。日本人の支援者は、共に座り込んだり、笛を吹いたり、ユルトンに交ったりして、集会をともに実現し、45分頃からは日本人からの連帯発言として、東海ネットに参加する当ユニオンと、全トヨタ労組から発言し、11時過ぎ、集会を終えました。

 5者協議の結果を待ちながら、近くで休憩をとりました。途中、飲食もいただいたり、互いに交流したりしながら過ごしたのですが、協議は続き、それで12時40分になって、ワイパーの仲間だけが社前に戻って笛を吹くパフォーマンスをして、午後1時、デンソー本社前での行動を終えました。

 そしていったん解散した後、午後3時半から、名駅前での宣伝活動に移りました。今回はミッドランドビルとは大通りを挟んで反対側の、駅に近い、桜通口交番付近で行いました。横断幕を広げ、チラシを配布しながら、かわるがわるマイク宣伝を続け、時にはユルトンを交えて注目を一気に集めたりなどしながら、2時間、宣伝活動を続けました。

 その後移動し、「悪法のデパート 岸田政権はいらない! 6・19集会・デモ」の会場である若宮広場に、午後6時前に到着しました。参加者や通行人にチラシを配布しましたが、チラシは翌日のデンソー前行動についての記述と、今回の問題を簡潔に紹介した文章を、カラーチラシの見出しに付け加えて作成した新たなもので、私たちは、広く、午前9時からの、株主総会開催に合わせての行動を呼びかけました。

 そして午後6時半から「憲法をくらしと政治にいかす 改憲NO! あいち総がかり行動」が主催するこの集会が始まりました。約300名が参加し、当ユニオンからは10名近くが参加しました。共同代表を務める塚田弁護士の司会で、最初に「人業劇団ひらき座」の方1名が反戦歌を披露し、その前では1名が歌に合わせて舞踏を行うというパフォーマンスでした。続いて発言に移り、非正規労働者の現状について当ユニオンから、非正規組合員で組織する職場分会の取り組みを中心に紹介し、消費税やインボイス制度について愛商連の方から紹介し、困窮家庭の現状についてフードバンク岐阜の方から紹介し、奨学金問題について弁護士の方から紹介しました。そして特別報告として、韓国ワイパーの労働者が皆前に並び、代表の発言が、反戦の内容も含めて力強くされ、次いで「出てこいデンソー」というオリジナルソングが踊りを交えて披露され、一気に会場が盛り上がりました。最後に共同代表を務める長峯愛知大学教授のまとめの発言で、熱気ある集会を終えました。

 続いて午後7時から栄一帯のデモに移り、当ユニオンはのぼりを掲げつつ行進し、他方で韓国ワイパーの仲間は横断幕を横に掲げつつ、隊列を組んで行進し、ともにデモを盛り上げました。


 こうして長い一日が終わりました。暑さもあり、後から訪日した仲間は特に体も慣れず疲れたと思いますが、明日はいよいよデンソーの株主総会で、社前行動も呼びかけましたし、韓国での5者協議も、明日引き続き継続されるとのことです。明日の行動としては、午前9時から11時頃までデンソー本社前行動(株主総会は本社で開かれます)、終了後に刈谷駅前のアイリス(刈谷市総合文化センター)で総括会議を予定しています。そこで一つの節目になりますが、今回の第三次派遣団が解決という成果を韓国に持ち帰ることのできるように、団結して、がんばりましょう。



 


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